第8回「覚えづらくてすみません(笑)」

弱視のAさん(女性)は、歩行時や入浴時などの際に必ず介助が必要な方です。

Aさんへの第一印象は、目は見えづらい方だけど、"とても明るい人柄で素敵な笑顔を見
せてくださる方"でした。

そんなAさんは、週2回のデイサービスを利用され、私は週3回の勤務なこともあり、
Aさんと私は週に一度しか顔を合わせることができません。

それに、私は半日勤務のパートなため一緒の時間を過ごせるのは午前中のみです。

そんな貴重な時間は、毎週入浴介助でご一緒するのが日課です。

ある時「Aさん、お風呂の用意ができましたがいかがですか?」と声をかけると、
『あら、お願いします』と笑顔で応えられました。

そして、入浴介助を始めると、

A『あのう、お名前聞いてもいいですか?』

新「新谷と申します。宜しくお願いします」

A『あっそうだ!ごめんなさいね。覚えられなくて...』

新「大丈夫ですよ。むしろ覚えづらい名前ですみません」

介助中の女性二人の楽しい会話はもちろんのこと、神奈川では珍しい且つ、覚えづらい私
の苗字の話題は、毎週の日課となっていました。

そんな会話が3週間ほど続いた翌週、いつもと違う心境で介助を行なうこととなりました。

いつものように「Aさん、お風呂の準備ができましたよ」とAさんに声をかけると、
『新谷さんよね。宜しくお願いします』と返答されました。

正直、内心驚きと嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

「覚えてくださりありがとうございます!」と視覚では伝わらない笑顔で返答しました。

そして今まで入浴後には『ありがとうございます』と一言だけだったのに、この日は『新
谷さん、ありがとうございました』と、持ち前の素敵な笑顔でお言葉を頂きました。

名前を呼んでくださったこと、そして何より覚えづらい私の名前を覚えようとしてくれた
ことがとても嬉しかったです。

また、ご利用者さんに初めて名前を正確に呼んで頂けて本当に嬉しい限りです。

覚えてもらえたのは、毎週私が担当していて、声や素振りを感じて下さったのか正確な理
由は分からないけれど、来週以降も名前を覚えてくれてたらいいな...そう思います♪

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